国と製薬会社が行う大規模アルツハイマー病研究事業「J-ADNI」に参加した研究者たちから、「臨床試験のデータが
改ざんされた疑いがある」との指摘があり、厚生労働省が聞き取り調査を始めたことが10日、分かった。

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J-ADNIは、アルツハイマー病を研究して新薬開発を目指す事業で、これまで経済産業省、厚生労働省、文部科学省が
24億円、製薬会社11社が9億円、計約33億円を拠出し、2007年に開始。認知症研究の第一人者である東京大学大学院の
岩坪威教授(神経病理学)が代表となり、全国38医療施設で実施されている。
製薬会社などがつくる「バイオテクノロジー開発技術研究組合」が事務局を担う。

同研究は軽度のアルツハイマー病の患者や、発症には至っていない軽度認知障害とされた人など計600人に対し、物忘れ
などの症状と脳の医用画像や血液を2〜3年間追跡調査し、脳に起きる変化を調べた。今年3月末に報告書が提出される予定だ。

不適切と指摘されているのは、研究に協力した545人の高齢者に対する心理試験データ。30分後に記憶を再生・確認する
検査で、実際は1時間以上経過した後に行った検査を、30〜40分後に検査したと書き換えるケースがあったとしている。

また、アルツハイマー病以外が原因の認知症の患者など、健康状態が悪く、臨床試験に適さない患者が研究対象に少なく
とも80人が含まれているとも指摘しているという。
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改ざんの疑いを指摘したのは同研究でデータ分析を担当しているグループ。筑波大学の朝田隆教授は「(このデータでは)
5年間の研究の成果が出せない」と憤る。

また、研究班の杉下守弘・元東大教授も「これはデータの改ざんだ。他にも条件に合わない患者の登録が多数行われており、
研究の信頼性を損なう」と訴えている。

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一方、岩坪教授は同省の調査に、時間変更は記憶を頼りに直したもので、改ざんではないと回答しており、見解が食い違って
いる。「データの確認・修正を行っている段階で、改ざんとの指摘は事実誤認だ」と話している。
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