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アミグダリン(レートリル)の健康被害、死亡事例について

●安全性
長期摂取によって重篤な健康障害、中毒死を起こした事例が複数報告されており、米国のFDA (食品医薬品局) は米国内ではアミグダリンおよびレートリルの販売を禁じている。

●効能
米国国立がん研究所の研究結果報告で「癌の抑制、改善、延命」に対し、いづれも効果がないことが判明した。
むしろ長期摂取による青酸中毒の蓄積で、重篤な健康被害を引き起こすことが判明した。

●中毒症状
・青酸中毒による悪心、嘔吐、頭痛、めまい、血中酸素の低下による皮膚の青白、肝機能障害、異常な低血圧、眼瞼下垂、神経障害による歩行困難、発熱、意識混濁、昏睡、死亡が報告されている。

●被害事例(一部抜粋)
・レートリルをヒト (女性) が摂取した時の最小致死量は198 mg/kgで、瞳孔散大、幻覚、知覚異常、呼吸困難が認められた(91) 。
・レートリルをヒト (女性) が摂取した時の最小中毒量 (Lowest toxic dose) は60 mg/kgで、痙攣、痙攣閾値の変化、消化管運動亢進、下痢、脂肪肝が認められた(91) 。
・アミグダリンをヒト (小児) が摂取した時の最小致死量 (Lowest lethal dose) は50 mg/kgで、吐き気、嘔吐、昏睡、呼吸困難などが認められた (91) 。
・肝がん合併の65歳女性肝硬変患者 (イスラエル) が、アミグダリン3 gを摂取後に低血圧、アシドーシスを来たし死亡 (PMID:3003927) 。
・68歳女性担がん患者 (オーストラリア) が、アミグダリン3 gを摂取直後に、昏睡、痙攣、重度の乳酸アシドーシスを来たし死亡(PMID:16014371) 。
・肝転移を有する32歳女性乳がん患者で、アミグダリン摂取によりショック、呼吸不全を来たし死亡 (PMID:16175068) 。
・転移性結腸がんのため化学療法中の58歳男性 (オランダ) が、がん治療の目的でアミグダリンを45日間摂取したところ、青酸中毒により肝機能不全を来たし死亡 (PMID:24218429) 。
・転移性上衣腫で治療中の4歳男児 (ドイツ) が、アミグダリン製品 (NovoDalin) 500 mg×4回/日の静脈投与および経口摂取、杏仁5~10個/日を摂取したところ、昏睡、痙攣、脳障害を来たし死亡。 (PMID:25605411) 。
・3歳女児 (トルコ) が杏仁の種8~12個を摂取したところ、摂取1時間後に7回の嘔吐と意識喪失を起こし来院、急性青酸中毒と診断(PMID:23158573) 。
・菜食主義者の28歳男性 (中国) が、アミグダリンを含む漢方薬15種を煎じて、1~2回/日摂取したところ、摂取後2ヶ月頃からつま先のしびれを来たし、アミグダリンによる末梢ニューロパシーを引き起こしたと考えられる (PMID:16418710) 。
・毎日小さじ1杯の杏仁を摂取していた39歳女性が、痙攣を起こし昏睡状態のままICUへ救急搬送。急性青酸中毒と診断 (PMID:26289124) 。
・前立腺がん寛解期の67歳男性 (オーストラリア) が、自己判断でアミグダリン含有製品(3錠/日) と自作のアプリコットカーネルエキス (ティースプーン2杯/日) を5年間摂取していたところ 、経皮的動脈血酸素飽和度 (SpO2) が低値を示し、血中シアン化物、チオシアン酸塩濃度の上昇が認められ、慢性シアン中毒と診断(PMID:28893740) 。

参考文献
FDA (米国食品医薬品局)
ESFA(欧州食品安全機関)
米国国立がん研究所