現在、抗がん剤のエビデンスとして承認される基準は、2ヶ月以上までとされている。この2ヶ月足らずの延命をなぜ基準とするのか?
それは、それ以上厳しくなるとほとんどの抗がん剤が承認されなくなるからだ。すなわち、ほとんどの抗がん剤がその程度の効果しか認められないということである。
この2ヶ月という延命のために生命の危機に脅かされ、苦しい副作用に耐えなければならない。
これはもやは人間の尊厳を無視した延命措置ではないか?
また、動物実験でも免疫を奪った動物に抗がん剤を投与したところ、癌の縮小が確認できない事例が報告された。つまり生命が本来持っている免疫力がなければ、抗がん剤は効果を発揮しない。そして、その免疫力を奪っているのが抗がん剤そのものなのである。
抗がん剤は、長期に渡ると薬剤耐性を身につけ、効かなくなる。するとより大量の抗がん剤を投与され、ますます本来の免疫力が低下。悪循環におちいり死に至る。これでは本末転倒と言っても仕方ないだろう。
近年は副作用を抑える薬が開発されたり、従来よりも延命効果が期待されるようにもなってきたが、それでも本質はなにも変わっていない。
抗がん剤は、もはや限界にきている。
そもそも癌に対抗しようとするのではなく、癌そのものを治療する方向転換が求められている。たとえば、癌のイニシャライズ(初期化)。
癌は、遺伝子の変異が原因であるならば、その癌を修復、初期化できれば、問題は解決できる。ips細胞は、その初期化に成功した事例のひとつだが、癌にもそのアプローチが成功すれば副作用とともにその問題解決の大きな一歩となる。