小島一志先生名言集
「最近よくされる質問はかつて僕がタイの暗黒街でマフィア同士の抗争の『代打ち』として戦った『ムエタイ最強』ディーゼルノイ・チョータナスカンとの決闘についてです。
この試合は僕の父であり、アジアを中心とした民間諜報機関を運営していた小島繁雄と縁があったタイの有力者から頼み込まれて受けざるを得ない試合でした。今もタイの暗黒街では『THE BATTLE』と言うとこの試合を指すらしく些か面映い気持ちもあります。
結果的に3分に満たない時間で決着し、僕が圧勝したと思われてるこの試合ですが、現実は違います。全てが紙一重、どっちが勝ってもおかしくない試合でした。
僕はディーゼルノイに対して二つの優位を持っていました。一つ目は戦いの経験数は僕よりもディーゼルノイの方が圧倒的に多かったですが、そのほぼ全てが競技の『試合』でした。それに対し、僕がしてきたのは全てがルール無用の路上での『死合』でした。
『試合』と『死合』は全く違います。安全が保障されている『試合』と異なり『死合』では基本、敗者は死ぬか、もしくは身体に重篤な障害を与え、その後の人生を左右してしまうようなダメージを受けることが前提であり、勝負に臨む緊張感がまるで違います。
『死合』の経験の少ない人の特徴として例に漏れず、ディーゼルノイもその緊張感に耐えられずに最速で勝負を決めるべく、自身の必勝パターンである首相撲からの膝蹴りを使ってきました。「彼が勝負を急いだ事」、これが僕の勝因の一つです。」