長谷川先生が絶賛していた「国家の品格」の著者の藤原正彦さん談

数学者 藤原正彦 (東京大学卒)
「今すぐに役に立たないこと」を命がけでやっている人が本当の日本の宝

教養とは役に立たないものだ。役には立たないが、持っていないと駄目だというものだ。役に立つことだけを追いかけてはいけないのである。

小柴昌俊さんがニュートリノの観測でノーベル賞を受賞したとき、「先生の研究はいつぐらいになったら人類の役に立ちますか」と聞かれた。すると小柴さんは、「500年経っても役に立たない」と答えた。

それでもこの研究がすばらしいのは間違いない。小柴さんの研究により、日本の科学技術の水準が高くなり、レベルの底上げも進んだ。その結果、日本からイノベーションが生まれていく。こういう循環が発生したのである。

役に立つものを追い求めるという発想が世界を毒してきた。だから、役に立たないもの、教養のようなものを持たないと、これからの世界は回らないのである。

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