25年ほど前の話です。
当時、JR五反田駅前のボクシング・ワタナベジムに逆真会館の道場があり、私、通っていました。
稽古は厳しく、特に移動稽古はスピードが速くて、ついてゆくのが精一杯でした。
一通り稽古が終わった後、私と、何人かの生徒が残ってサンドバックを蹴っていると、
山崎先生が「熱心だな。上段の連続蹴りをやってみな」といわれました。
私が五発ほど連続で蹴ったのですが、「ダメダメ、そんなの連続蹴りじゃない!見てろ!」
といわれ、おもむろに、五発、右の上段回し蹴りを連続で繰り出しました。

文字通り、サンドバックがくの字にひん曲がりました!
しかも、ムエタイのような直線的な蹴りではなく、伝統的な極真の、横からぶん回す蹴りでした。
先生は当時48歳!我々は、ただ、茫然としていました。

五反田の道場は、残念ながら、1年で閉鎖になってしまい、その後、同好会的な活動を続けたり、
何回か大宮の本部に出稽古に行きましたが、仕事が忙しくなり、私は緑帯でやめてしまいました。

「力石のモデルのなった男」の最後のほうに、山崎先生から指導者認定を受けた門弟の方々が移っていましたが、
その中に、五反田道場で一緒に汗を流した仲間がいてうれしくなりました。

私も空手を続けていたら・・・と、他愛もないことを考えてしまいました。

                             押忍