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【K谷先輩、矜持を守り試合に負ける】
この日が来た。
全日本予選。
K谷先輩は、まだ全日本優勝を諦めてはいない。
居酒屋で朝まで語り明かせば、俺が全日本に出たらお前が付き人、お前が出たら俺が付き人だと、何度も何度も話したものだ。
K谷先輩の腕は、今までに見たこともないほどパンパンになっていた。
一体、1日なん万本、なん十万本素振りをしてきたのか、、
ついに、一回戦。
待ちに待った門出への第一歩。
はじめの一歩。
行くんだ先輩。
ありのままを。
先輩のありのままの剣技を、惜しみ無く披露し、この上ない勝利を勝ち取るんだ。
しかし、現実は残酷すぎた。
結果、後輩相手に時間内の二本負け。
私は言の葉を失った。
試合を終え、先輩は廊下の人気の無い場所へ。
泣いた。
あの屈強の野生児、K谷先輩が泣いた。
先輩は私に言った。
『試合には負けてしまったが、真剣勝負なら私は勝っていた、、』
そう、K谷先輩は、試合に負け勝負に勝ったのだ。
私はいつか、全日本に出るだろう。
そう、K谷と共に。
K谷先輩よ、永遠に。
『一つの太刀に、己の全てを。我行く道修羅ぬゆ道。咲かせてみせます日本晴れ。』
K谷先輩、一生ついていきます。