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禅道会について語ろう
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0368名も無き禅道者2016/11/10(木) 20:55:50.38ID:U1hAIqBY0
■はじめに――最強を求めて

「格闘技って、なんてつらいんだろう。」

ふと立ち止まっては、こんなことを思う。
仕事がうまくいかない、練習が苦しい、
現実に直面して夢敗れる、KO負け、納得のいかない判定……
さらには逃れられない老いによる衰え、病、そして死。
どうしてこんなに苦しみが多いのだろう。
まるで苦しむために生まれてきたみたいなものじゃないか。
たいていの人間は、こんなことを考えるに違いない。
でも、考えたからといって、それから離れることができるのだろうか。
おそらくできないだろう。苦を背負ったまま、
自分の心をごまかしながら生きていくのが普通であろう。

ところがわたしはそういう妥協ができなかったんだ。
わたしだって、わたしなりの苦を持っていた。
でも、自分をごまかすなんて、不器用なわたしにはできないことだった。
普通だったら、死ぬしかないっていう状態だ。
そこで何をしたかというと、「真の最強」を探して、
がむしゃらに格闘技の世界に飛び込んでいったんだ。
もともと物好きだったし、熱中すると我を忘れる性格だったからね。

それはもう、大変なことだった。
なにしろ、だれも知らないことをやろうというのだから。
文字どおり、暗中模索【あんちゅうもさく】の数年間だった。
その途中では、人生のどん底に落ちて、辛酸【しんさん】をなめた時期もあった。
苦をなくそうと始めたことが、いっそうひどい苦しみをもたらしたのだから、本末転倒だね。
0369名も無き禅道者2016/11/10(木) 21:02:50.59ID:U1hAIqBY0
しかし、わたしは「真の最強」探しを放り出さなかった。
なぜかというと、このころようやく手応えのようなものを感じていたからである。
わたしはギあり総合格闘技に巡り合った。
そして、VT【バーリトゥード】によって生死を超越し、
真の最強をつかむことができると確信したんだ。

それからは黙々と、格闘空手の教範を頼りに修行に励んだものだ。
空手というものは面白いもので、進歩を測るのに段や級を目安にする。
つまり、どの色帯が身につけばどの段階か、
ということがはっきりしているのである。
もちろん、わたしも少しずつ級を獲得していき、
いつしか有段者と呼ばれるようになった。
しかし、これはあくまでも付録で、最終目的は最強だ。
0370名も無き禅道者2016/11/10(木) 21:10:23.56ID:U1hAIqBY0
やがてわたしははみだし空手に書かれている、空手バカの最終段階に到達した。
地方大会でも優勝した。ところが、それはわたしが求めていた最強とは違っていた。
まだまだ途中の段階だったのである。それを知ったときは、
再び暗闇の中に放り出されたような気分だった。さて、どうしたものか。
より高い段階へ行くには、どういう修行をしたらよいのだろうか。
しばらくの間、停滞期が続いた。
そして、あるとき格闘空手発祥の地である仙台が、
わたしを呼んでいるのを感じたのである。
わたしは当時全く自分の時間がない状態であったが、
意を決して仙台へと飛んだ。何がしかのヒントを得られることを信じて。
ところが、よっぽどわたしも気がせいていたんだろう。笑い話にでもなりそうな失敗をしてしまった。ホ●ス戦でわりと有名な先輩が、

「自分は最強に近いス、最強の方法を知っている。」

と言うのを信じて弟子になってしまったのである。
彼を師と仰ぎ、多額のドーネーション(奨励金)をし、教えを乞うた。
しかし、何も教えてくれなかった。
彼は、自分の壊れ始めたココロを維持するために、
なりふりかまわず奔走しているだけだったのだ。

続く
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