打圧(だあつ)

古代中国において陀 阿津(だ あつ)という武人が大成させた武術。
この闘法は、投げ矢を使用して敵の急所を的確に射抜いてダメージを与える事を目的とし、
的板にひたすら投げ矢を投げ、思い通りの場所に刺すことが出来るようになるまで修行を行う。
この過程で自らに合った矢を製作する事も大切な修行であり、
主に矢の握りや長さを調整したり、尾部に付ける羽根などを適宜交換することで自らのスタイルに合った矢を製作していく。
また、同じ急所でも、体内の負の気が溜まっている場所に当てると2倍・3倍の威力があるとされ、
この微妙な点をそれぞれ「駄負溜(だぶる)」「堵離負溜(とりぷる)」と呼んだ。
この奥義を極めんとする者には、最終試験として「区理華闘(くりけとう)」と呼ばれる試合が課される。
これは対戦者の体に印をつけて交互に矢を投げあい、最終的に全ての印に3回ずつ矢を刺した者を勝者とする試合である。

今日の「ダーツ」の由来はこの闘法にあるということはあまり知られていない。
また、一昔前までは考案者の陀 阿津の名を取って呼ぶのが一般的であったが、
最近の調査によって、この技に使われていた矢の先端は針のようにとがってはおらず、
丸くなっている事がわかった。
よって、この技は「刺して殺す」のではなく、
矢に闘気を込め、その力で相手の身体に著しい負担をかけて殺していたとする説が浮上した。
このことから、この技は「打圧」と呼ばれるようになり、現在では老若男女が楽しめるスポーツとして人気を博しているのである。

民明書房刊「世界の飛び道具大全 〜矢らないか〜」より抜粋