アルコールと暴力犯罪
松本俊彦 / 国立精神・神経医療研究センター部長

 川崎市で起きた中1男子殺害事件は、アルコールの影響が一定の関与をしている可能性がある。
リーダー格とされる18歳の少年は、以前から酒癖の悪さが知られ、事件直前にも飲酒していた
ことが分かっているからだ。もちろん私は「今回の事件はすべてアルコールのせいだ」などと
いうつもりはない。ただし、この機会にアルコールと暴力について確認をしておくことは大切だと思う。

 アルコールと暴力犯罪との密接な関連を示す研究は、世界中に枚挙にいとまがない。
例えば、傷害および殺人事件の40〜60%、強姦(ごうかん)事件の30〜70%、
DV(ドメスティックバイオレンス)事件の40〜80%にアルコールが関与しているとの報告がある。
この割合は、窃盗や詐欺などの非暴力的犯罪に比べて著しく高い。
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20150708/med/00m/010/004000c