日曜の朝、都内某所
iPhone愛好家たちが集まる小さなサイトのオフが開かれようとしていた
集合時間10分前、既に来ているメンバーは7人
その輪の中へ、俺は愛機のiPhoneXRを手に駆けつけた
「おはよう!XRキッドです!今日はよろしく!」
元気よく自己紹介する
「…あ、おはようございます」
「XRキッドさんって高校生なんですよね?若いですね…」
なぜか皆の視線が泳いでいる

「遅くなってスイマセ〜ン!」
iPhoneXsMAXを手にしたオッサンが大きな声を出しながらやってきた
「幹事のMAXオヤジです。今日は皆さんよろしくお願いします」
この人が今回のオフの主催者であり、サイトの管理人でもあるMAXオヤジさんだ
「あ、どうも!XRキッドっす。よろしく」
俺が挨拶をすると、MAXオヤジは眉間にシワをよせて、俺とXRをジロジロと見てきた
「え〜っと…XRキッド君だっけ?君さぁ、今日何をするか知ってる?」
「え…?写真や動画撮ったりポケモンGOやるオフっすよね?」
「うん。で、君のiPhone…それ光学ズーム無いよね?」

何が言いたいのかわからない。愛機をそれ呼ばわりされてイラっときた俺は言った
「何が言いたいんスか?」
「屋外で写真や動画撮るんだけど…綺麗にズームできないよね?」
「…大丈夫っスよ!ピンチアウトすれば遠くの物でも綺麗に撮れますし!」
爆笑の渦が起こった。そしてMAXオヤジは苦笑いしながら言った
「デジタルズームの汚い写真なんてサイトにうpできないよ。それにそのベゼルを見てごらん」
視線を落とす。そこにはこれでもかと言わんばかりに画面周りで主張するぶっといベゼルがあった
「Appleユーザーは見た目と使用感を大切にするからね。君のおデブiPhoneは恥ずかしいよ(苦笑」

俺は泣きながら家に帰ると、そのまま枕を濡らして眠ってしまった
目を覚ますと午後10時、パソコンの電源を入れてあのサイトを覗いてみる
そこの掲示板には、今日のiPhoneオフを楽しそうに振り返るメンバーたちの書き込みがあった
俺は偽ハンドルネームを使って『MAXオヤジ臭ぇんだよ!死ね!』と書き込む。

すぐに管理人からのレスがあった
『XR君だね。当サイトのルール通り、君をアク禁にします』