逃走のはてに  投稿者:小傘 投稿日:2018/02/21(水) 01:25:55

一年前の話である。
当時ピーマンに追いかけ回されていた私は、ちょっと隠れさせてもらうつもりで山姥の家の物置小屋に足を踏み入れた。
物置小屋に隠れていると、鉈を持った長髪の山姥に引きずり出され必死に謝ったが有無を言わさず山姥の家へ連行された。
何してるんだべ?と聞くので変態に追いかけられていてやむなく隠れていましたと説明した。
そしたら私の匂いを嗅ぎつけたかピーマンが登場!
家の周りをガサガサ歩き回り始めたが、短時間でどこかへ行き「あれはもう入ってこれんから安心してええべ」と耳打ちされた。
あれ?なんだ?この温かい感覚は?わけのわからない事が頭の中をグルグル回り、自分の意識を失わないように必死になっていた。
気がつくと山姥の人に抱きつき泣き声をあげていた。
ママ臭を嗅がされさらにぶっ飛び、今日は泊まっていったらええと命令され、今迄感じたことのない安心が続いた。
私のために聖域が作られいつの間にかピーマンにボロボロにされた傘が直され、ネムノさんは服まで用意してくれていた。
添い寝読み聞かせ、子守唄。私は幼児に堕ちていた。何泊したのだろう?
ネムノさんの家事を手伝い、褒めてもらうたびに飛び上がるほど喜んでいた。
あれから一年。妖怪の山をお母さんっ子妖怪が行く。