指導陣は見て見ぬふり?

 別の慶應アメフト部OBは「トラブル対処方法に問題がある」と指摘する。

「問題が発覚するとトラブルを起こした同期部員がミーティングをするんです。そこで同期内で処分を決める。
その結果を上級生に伝え、最終的な処分が決定します。
監督やヘッドコーチは、問題発生から処分決定まで直接関わることはありません。いい解釈をすれば部の自治を重んじているとも言えますが、問題の重大性を考えるとあまりに無責任です。
自分たちが知ってしまうと責任をとることになるからあえて目を伏せる、という意図もあるんだと思います。

 昨年、日大アメフト部のタックル問題が明るみになった時に、過去のわいせつ写真や未成年飲酒について、公表するなら今じゃないのかなって思っていました。
しかし公表されることはありませんでした」

�@脈々と受け継がれている慶應アメフト部の“隠蔽体質”。
その原因は慶應幼稚舎からつながる、内部生特有の結束力にあるという。

『俺たち何か悪いことした?』程度の認識

「慶應アメフト部は選手もマネジャーもみんな仲がいい。理由は他の部活に比べて内部進学生が多いから。
慶應にはアメフトの基礎を学べる、幼稚舎のフラッグフットボールチームや、中学生のクラブチーム『ジュニアユニコーンズ』があるんです。

そこからずっと一緒だったメンバーの結束力は本当に強いし、お金持ちの家の子たちばかりなので特有の優越感を共有していて悪ノリすることも多い。部内にはその雰囲気が伝播していました。

 だから部員の多くは問題を起こしても『俺たち何か悪いことした?』という程度の認識です。隠蔽も仲間を守ったんだという認識。

在部中は“慶應”というマフィアみたいだなと感じていました。今回の盗撮行為を公表したのも問題発覚から2カ月後ですもんね。
監督やコーチらも、見て見ぬフリをすることで部員の甘さを助長させていた」(同前)