ベストアンサーに選ばれた回答
kny_kiharaさん

小生は4年前に卒業した元部員で、現在国公立法科大学院生の者です。ご質問について、小生の知りうる範囲でお答えします。

ご存じの通り、京大アメフト部では様々な不祥事がありました。元エースQB自殺事件(04年3月)において自殺したKさんは小生の1学年上の方です。
彼は経験者であったため、勉強合宿に誘い込まれるなどの常軌を逸した勧誘を受け、「京大でアメフトをするため」に浪人してまで入部しました。
しかし、監督から「締め上げ」と称する虐待を受け、肩を壊して退部し、4ヵ月後に自殺を図りました。
人生を狂わされた彼のご家族の悲しみは筆舌に尽くし難く、彼を慕っていた同級生や1学年下の後輩(つまり小生の同期)も、学生生活を台無しにされました。
今でも当時のことを思い出しますと、胸が痛みます。

小生は、このようなことがなぜ起きてしまったのか自問しながら、紆余曲折はありましたが、可能な限りの調査をして参りました。

本論に戻りますと、質問後段の水野監督の職歴について、「勝利者」(鈴木智之著、万来舎)という著書が参考になります。
それによると、潟Xズキインターナショナルは、関学アメフト部OBで、アメフト界の「実力者」と称される鈴木智之氏が創業した、ビールの瓶詰・缶詰プラントの会社です。
鈴木氏は、京大の監督業では生活ができない水野氏を、ス社の社員に迎えて面倒を見たとのことです(前出、22頁)。
その目的は、政策的に京大を強化することで、関西の大学フットボールの人気を高め、レベルアップするなかで、母校関学が覇権を争う戦いをしてほしいと考えていたところにあります(前出23頁)。
さらに商業登記簿によれば、水野氏は97年2月〜09年10月の12年8ヶ月間はス社役員であり、役員報酬を受け取るなど、鈴木氏から全面的な支援を受けております。

このことからすれば、イヤーブックの記載は、役員であった旨の職歴が欠けている点で正確ではありません。
職業は人の社会的信用に関する事項であり、団体の代表者として当然公にすべきですが、これを秘匿する水野氏の社会的信用はいかばかりでしょうか。
また、昔から「打倒関学」をスローガンに掲げながら、裏で関学関係者の支援を受けてきたという二重基準に、どれだけの説得力があるでしょうか。

ともあれ、このような矛盾を抱えながらも、96年まで学生日本一を6度経験したわけですが、やはり出自の秘密は隠し切れませんでした。
それが一連の不祥事の嚆矢(こうし)となった、98年の「コーチ出向背任事件」です。

すなわち、98年当時、鈴木氏は社会人チーム・アサヒ飲料チャレンジャーズの関係者であり、優秀なヘッドコーチの招聘のため、水野監督に対し、実績のある藤田コーチ(当時)の出向を依頼したところ、水野氏は二つ返事で承諾したのです(前出、47頁)。
このことと、当時水野氏はス社役員であったこととを併せ考えますと、一連の水野氏の行動は、自身の役員報酬などの利益を図り、コーチを「身売り」に出し、チームを犠牲にしたものと言わざるを得ません。
これは「背任」ないし「利益相反行為」に当たる可能性があり、普通なら即刻解任ものです。しかしわざわざ難しい法律用語を使わずとも、水野氏の背信性は明らかです。
なぜなら、98年は京大は立命に敗れ、惜しくも日本一を逃しましたが、当時の部員らは日本一を信じて、留年覚悟で一時的に学業を放棄し、涙ぐましい努力をしていたにもかかわらず、監督自らそれを裏切ったことは厳然たる事実だからです。