疑念ますます浮き彫りに 日大の悪質タックル

◇現場の責任者は誰か
 
日大の回答には、アメフット部として関学大や負傷した選手への謝罪する言葉や、
「指導方法に関し、深く反省しております」とするくだりはあっても、
指導者としての内田監督の責任を明確に認めてはいない。11日にコーチと当該選手が
謝罪に訪れた際、関学大側は「責任者(監督)と一緒に来てほしい」と会わなかったが、
その後もこの日の記者会見の時点まで、監督からの謝罪申し入れはないという。
 
鳥内監督が「現場の責任者は監督。自分のチームがああいうプレーをしたことについて
監督の責任はある」と言うまでもなく、経緯はどうあれ、起きたことについてトップが
結果責任を負うのは社会人のイロハだ。
 
日大と関学大は大学アメフット界の歴史をつくってきた東西の両雄。定期戦は今回が51回を数える。
他の競技にも類を見ないほどの好敵手として、長い歩みを重ねてきた。鳥内監督は現役時代を
振り返って「日大と勝負できるチームをつくろうという気持ちでやってきた」と敬意を表し、
小野ディレクターは「そういうライバル関係にある中で、こういうことが起きたこと自体信じられない」と、
歴史に泥を塗る裏切りに怒りをにじませる。
 
日大は「確認作業及び再発防止策の策定を行っており」として24日に再回答するという。
夜になって報道機関宛てに出したコメントには「当該選手本人を含め関係者全員からの聞き取り
などが完了しておりません」とする文言が加わり、回答を修正する可能性もうかがわせるが、
真相は究明されるのか。小野ディレクターは当該選手に「真実を自分の口からきちんと話すことが、
彼の人生のためにも必要なことだと思う」と呼び掛けた。
 
それでも、内部調査の限界を指摘する声に対して、小野ディレクターは「第一に、日大アメフット部の
自浄能力が大事」と指摘した。長年のライバルにスポーツマンとしての良心が残っていることへの
期待の表れであり、アメフット界の良識を示してほしいとの願いからでもあるが、

日大にとってはアメフット部だけの問題ではなくなりつつある。学生を守らず、好敵手との歴史を断ち切り、
アメフットファンを傷付けてまでも、常務理事としての監督を守ろうとするのか、それとも語れない真相があるのか、
教育機関としての姿勢をも問われかねない。

https://www.jiji.com/jc/article?k=2018051701360&;g=spo