「京大ギャングスターズ」のOBには、いわゆる「硬派」が多い。在学中にたたき込まれた教えが言葉や態度に表れ、会話に緊張感が生まれる。


 受験勉強に没頭しスポーツとは無縁だった高校生が、大学に入ってアメリカンフットボールを通じて強靱な肉体と精神力を備えた「男」になる。
 学生時代の写真の眼光は例外なく鋭く、そこにチームカラーである激しいプレースタイルの原点が見える。


 ギャングスターズは今年、節目の創部70周年を迎えた。6月11日には、かつて甲子園ボウルで相まみえた法大を農学部グラウンドに招いて交流戦を行う。
 往年の名選手たちが参加する記念の式典も予定されている。


 京大の歴史は「打倒関学」の歴史でもある。それまで大敗続きだったチームが、関学を初めて倒したのは1976年の関西学生リーグ。しかし、再戦となったプレーオフで敗れ甲子園ボウル出場はならなかった。


 甲子園ボウル初優勝は83年。春の定期戦で東大に敗れるなど低迷したチームは秋に変貌を遂げ、6年連続学生日本一を狙った日大を30―14で下した。


 86、87年は各ポジションに精鋭をそろえ2年連続の日本一。それから30年の歳月が流れた。
 ギャングスターズが、国内のアメフット界で確固たる地位を築いた当時を知るファンは少数派になりつつある。最近は「怪物」QB東海辰弥選手の名前を知らない若い世代も珍しくない。


 6度目の学生ナンバーワンに輝いた96年度を最後に、タイトルから遠ざかっている。復活を望む声が高まる中で、6年目を迎えた西村大介監督が掲げるのは「原点回帰」である。


 試行錯誤を重ねた青年監督が手塩にかけて育てた京大らしい「硬派のチーム」が、さなぎから色鮮やかな羽を広げた蝶になる日を待ちたい。(編集長・宍戸博昭)
【写真】1995年12月、甲子園ボウルで5度目の優勝を果たし、喜ぶ京大の選手