http://jp.techcrunch.com/2012/07/30/20120729surprisingly-good-evidence-that-real-name-policies-fail-to-improve-comments/

(前略)

「インターネットの匿名性はなくなるべきだと私は思う」、と元Facebookのマーケティング・ディレクター、Randi Zuckerbergは主張した。
「実名を曝した時の方が人はずっと素行がよい・・・匿名性の陰に隠れると、人は扉の後ろで何を言ってもいいと感じるのだと思う」。
匿名性はプライバシーの基本的権利であり、反体制活動にとって必須であるという論者と、
オンラインいじめやコミュニティーに対する荒らしの影響を心配するソーシャルネットワークとの間で、長い間国民的議論が戦わされてきた。

理論はともかく、この議論の参考になる確かな証拠がある。韓国では4年にわたり厳格な実名コメントルールを課してきた。
2003年に政治的ウェブサイトから始め、2007年には訪問者30万人以上のサイトにも拡大し、
ある著名人の自殺に関してネット上の名誉棄損が言及された一年後には、年間訪問者10万人へと強化された。
しかしこのポリシーは、韓国通信委員会の調査によって迷惑コメントが0.9%しか減っていないことがわかるとすぐに廃止が決定された。
韓国サイトには、おそらく価値ある個人情報を求めてハッカーたちも殺到した。

カーネギーメロン大学のDaegon ChoとAllessandro Acquistiによる継続分析の結果、
実名ポリシーは一部の利用者層において、罵りコメントの頻度をむしろ高めていることがわかった。
同ポリシーは、罵倒や「反道徳的」行動を全体では最大30%減少させたが、個々のユーザーはたじろいでいない。
1、2件のコメントを投稿する「ライト・ユーザー」は同ポリシーの影響を強く受けているが、「ヘビー」な連中(11〜16コメント以上)はひるむ様子がない。

委員会の推定によると悪質なコメントは全体の13%だけであることから、わずか30%の減少は、汚れたコメントシステムにとっては焼け石に水だろう。

こうした発見は、人々は行動をビデオに撮られていてもやがて無視するようになる、ということを以前から知っている社会科学者たちにとっては驚きではない。
言い換えれば、仮想的見張り人の存在がわれわれの行動を改善することはない、ということだ。