シン・ゴジラ(2016)

映画そのものは、ツッコミを入れながら半笑いで観る二流の怪獣映画としては郡を抜いていると思います。
会議ばかりでテンポが悪いので、欧米に持っていく時には30分ぐらいバッサリ切ると90分のホラー映画の尺になってちょうど良いかと。
特に主人公たち対策チームのシーンが要りません。キャラが立っていないのに、立てようとするカットが多すぎです。
オタク族と一括りにしてモブにしてしまった方がスッキリしていいんじゃないかと思います。

一般の方は、なんで早口で喋るアニメキャラみたいなのばかりなのがリアルだと熱狂的に言われてるのか分からないでしょう。
あの暗記した台詞をそらんじてるかのような、焦り以外の感情の見られない早口、そして会議室でのPCを覗き込みながらのメンバーの会話、
あれはオタクのコミュニティでのリアルなのです。
つまり、この映画の「日本のために立ち上がる、若くはないけれども老てはいない人間」パートは、コミケ後の打ち上げや、路上での立ち話、
ファミレスなどでよく見られる光景の再現で、それゆえにそういう年頃のオタク・かつてのオタクたちの自尊心や劣等感をくすぐるのです。
つまりこの映画は、世間から石つぶてを投げられてきた記憶に苛まれる中年オタクの「ありのままの私」の肯定なんですね。