0411創る名無しに見る名無し
2019/05/06(月) 21:03:00.26ID:P0miyObd「謝るな、気色悪い。
何時も貴様は強気だったではないか……」
「能力を失ってしまえば、私の実態とは、この程度の物だと言う事だ」
「能力を取り戻せる様に、サティに進言してやろうか?」
「……否、恐らく能力を取り戻しても変わらない。
もし能力が戻っても……。
そうなったらエティーを離れて、私は旅に出るよ」
「どこへ行くんだ?」
「どこへでも無い。
愛を探しに行く」
愛とは何なのか、バニェスは恐ろしくなった。
フィッグは確実にバニェスより愛を知っていて、愛に近付きたいと思い、愛を求めている。
自分もフィッグの様になるのかと思うと、愛を知らない儘の方が、良いのではと思い始めた。
フィッグはバニェスに言う。
「愛を見付けたら、貴様にも教えるよ。
これが私の愛だと、胸を張って言える物を」
バニェスは何も答えられなかった。
普通なら、楽しみにしているとか、或いは、見付かる訳が無いとか、皮肉を交えて揶揄う所だが、
そんな気にはなれなかった。
同じ世界に、同程度の能力を持って生まれた物が、ここまで変わってしまったのだ。
バニェスはフィッグの事を全くの無関係と切り捨てられない。
「……結局の所、貴様も愛を知らぬのならば、他に知っている物を探す事にしよう」
そう言ってバニェスはフィッグの元を去った。