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ホーキンスは気が付くとノルディスにいた。
生まれはフォークランドのウスワイエで、ずっとそこに住んで傭兵稼業や盗みをしていたが、
酒を飲んでいるうちに宝石商から盗みを働き、気が付くともの凄い勢いで南に向かって逃げていた。

一晩経つと、国境を越えていたという訳だ。

「ふん、悪くねえ街だ」

ノルディスの酒場にどっかりと腰を下ろし、ウェイトレスに水を持ってきてもらう。

思えば、ここは初めてではない。確か数年前、闘技場に行ったはずだ。しかし、2回戦まで行った
ということ以外に記憶がない。記憶から何かが抜け落ちている。

「おう、もしかしてあんた、竜騎士か?」

向かいに腰掛けたのはアルブリック。
自分よりもいくらか年上の男だ。甲冑や装飾を見れば嫌でも分かる。

フォークランドのやや南東に位置するドラガニアには、そういった格好の連中が多い。
ホーキンスもそれぐらいは知っていた。

「俺はと……いや、と、闘技場だ。闘技場を目指して旅をしてきた冒険者ってとこだ。あんたは?」

盗賊、と言い掛けてやめた。しかし、カネには当分困ることはないだろう。
と、突然運ばれてきた二つのコップの水に変化が生じた。

――どうやらこのテーブルに居るのは二人だけではないようだ。

【と、いった感じで導入部分です。よろしくです】

【フォークランドはドラガニアと使者を通し交易を中心に親交を深めようとしている。
女王マリスは突如放蕩の旅に出発していき、城は一時的にとはいえ女王不在に。
また、大陸中央の異変に対し、各地に調査団を派遣中である】