「もし、彼女が見事に予知を成功させていたら、死んでいたのは私の方だった」
予知を外す予知魔法使いは、最早予知魔法使いではない。
それは彼も同じ事。
だが、本当に死ぬ積もりがあったのかと、ジラは疑った。
「その時は自殺でもする積もりだったんですか?」
シャンリーの様に。
「魔法を失い、存在価値が無くなれば、消えてしまう。
真の魔法使いとは、『魔法の使い』なのだ。
その命は魔法と共に在り、魔法失くして生きては行けない。
それが私達『旧い魔法使い<オールド・ウィザーズ>』」
同じ言葉を繰り返され、ジラは不快になって沈黙する。
彼女は未だ、「真の魔法使い」を知らない。
マキリニテアトーは両目を閉じ、溜め息を吐く。
「リン・シャンリーには期待していた。
私の魔法を継いで、この命を終わらせてくれる者だと。
ここは退屈で堪らない。
外れない予知も」
そして皆、口を閉ざしてしまう。
気不味い沈黙を破ったのは、クァイーダ。
「話は終わった?
それなら帰りましょう」
彼女はジラに呼び掛けて、退出を促した。