彼女は「魔法使い」とは、「そう言う物」だと仮定して、会話を続ける。

 「シャンリー班長は『負けた』と言うんですか?」

マキリニテアトーは頷いた。

 「そうだ」

 「……誰に?」

 「私に」

予想通りの答を返され、ジラは落ち込んだ気分になった。
シャンリーがマキリニテアトーを超越しようとしていたと聞いた時点で、そうだろうと思っていた。
シャンリーは全てを承知で、最終試験に臨んだのだ。

 「貴方がシャンリー班長を殺した……」

 「彼女は私を上回れなかった」

 「貴方は何を予知したんですか?」

 「私は『彼女は予知魔法使いに成れない』と予知した」

ジラは沈黙した。
マキリニテアトーの予知通り、シャンリーは予知魔法使いに成れずに死した。
シャンリーは予知魔法の有用性を認めていたが、それは命に代えても求める様な物だったのか、
そこまでの価値を彼女は見出していたのか、ジラには何も解らない。