1977年1月にバンドはCBSと契約を交わし、ドラマーのテリー・チャイムスと共に「白い暴動」、「反アメリカ」、「ロンドンは燃えている」といった名曲を収録した比類なきデビュー・アルバムの『白い暴動』をレコーディングした。重要なのは、このアルバムに1976年にアンダーグラウンド・レゲエ・ヒットとなったジュニア・マーヴィンの「ポリスとコソ泥」の見事なカヴァーが収録されたことだった。この動きは瞬時にバンドのジャマイカ音楽への造詣(特にシムノンはブリクストンやラドブローク・グローヴといった黒人居住区で過ごした幼少期から自他ともに認める大のレゲエ好きだった)、及び当時警察からの「組織人種差別」の的になっていたと後に認められたロンドンの西インド諸島からの移民との連帯を示唆した。



ライヴにおいてもザ・クラッシュは結成当初から激情に満ちていた。ステージ上での彼らの情熱、流儀、迫力はおそらく先にも後にも例をみない。バンドの研ぎすまされたイメージは彼らの魅力に不可欠の要素だった。初期の頃は“Heavy Manners(非常事態宣言)”や“Sten Guns In Khightsbridge(ナイツブリッジに短機関銃を)”や“Passion Is A Fashion(情熱はファッションだ)”といった言葉がくっきりと書かれた彼らのミリタリーカットの衣装がスローガンや思想、歌詞を広める広告塔となった。また、ポールとジョーのギターにも「ノイズ」「ポジティヴ」「圧力」といったバズワードが書かれていた。